わたしの音楽と渋谷すばるの音楽

 わたしはジャニーズには無縁の音楽一家で育った。父がトロンボーン、母がクラリネットを吹いていたり、家にはクラシックからポップスから吹奏楽からCDが大量に山積みになっていたり、知り合いの演奏会や父が参加する演奏会に招待される機会が時折あったり、音楽が身近に感じられることが多かった。わたしにとって音楽は音そのものの質だったし、音の重なりの感覚だったし、言葉では表せないところで感じるものだった。

 

 わたしがジャニーズにハマったのは後にも先にも関ジャニ∞だけ。しかも、渋谷すばるというセンターボーカル。このことには、多分にわたしの育った環境の音楽環境が影響していると思う。

 

渋谷すばるの歌声」は音として本当に美しく響き、真っ直ぐに伸び、emotionalだ。歌詞が重要な意味を持つこともあるけれど、根本的にわたしは " どれだけ音が心に響くか " で音楽を判断している気がする。その点で、渋谷すばるは素晴らしい音楽を聴かせてくれる。それは彼の先天的な声質だったり彼の持つ心情的背景だったり膨大な量の練習だったり考え抜かれた結果生み出されたスキルだったりはするだろう。でも、そんなことは ( 良い意味で ) どうでもいい。

 音楽に限らないとは思うけれど、良いものの裏には何があっても構わない。ステージでどんなパフォーマンスを見せてくれるか。どれだけそれに対して心を使えるのか。わたしの中の音楽は、心を突き動かすもの。それを生み出す文化的背景や今までの苦労やこれからの成功なんかは知らなくても良い。それを知らなくても、音さえあれば何かは伝わり、心を動かす。極論、バンドマンは不倫をしていても離婚をしても隠し子がいたってどうでもいい。だって音楽が素晴らしいというただ一点で何もかも許されるから。

 

 渋谷すばるは人間だ。アイドルという特殊な職業についているかもしれないけど、それによって恋人を隠さなければいけないかもしれないけど、SNSも利用できないけれど、ただの1人の人間だ。だからこそ、わたしは彼の音楽に惹かれる。

 

 彼が好きな女のタイプの話をするよりも、好きな音楽の話をしているところを見たい。歌についてどう思っているのかを聞きたい。わたしは音楽を語ることに年齢も性別も人種も関係ないことを知っている。何が好きか、何が心に響くのか、それさえハッキリしていれば誰でも何でも話すことができる。同じ熱量で、同じ感情の量で、同じベクトルを向いて。

 渋谷すばるとわたしが音楽について語り合うことは悲しいことに絶対にない。だからわたしは彼のCDを買い、テレビを見、雑誌を買い、ファンクラブに入ってライブへ行く。彼の音楽を感じたいから。この一点だけは忘れてはいけない。

 

20170830